昨年の12月、ついに上海アリス幻樂団が『ZUN's Music Collection』をサブスクで配信しましたね。
サブスクが当たり前の時代になっても上海アリス幻樂団の曲だけはCDを買って…PCにインストールして…スマホに転送して…をおじいちゃんになっても繰り返していくのかなと思ったらまさかのサプライズ。マキシマムザホルモンも見習ってほしいものです。
さて、今回はサブスク配信を記念して上海アリス幻樂団のオリジナルアルバム(※幻樂団の歴史を除く)を紹介していきます。
東方Projectしかしらねーよという人も、ぜひこの機会に上海アリス幻樂団の純度100%のZUN曲に浸ってみてください。
あと「ジャケット写真に写っている2人の女の子誰?」という人はこちらの記事を読んでからご覧ください。2人を知ってる前提で話を進めます。
また今回はあくまでも音楽がメインテーマなので、収録されてるストーリーに関しては深く掘り下げませんのでご了承ください。
『蓬莱人形 ~ Dolls in Pseudo Paradise』
初版:2002年
初心者オススメ度:★★★★★
一言:東方好きでこのアルバム嫌いな人る?
言わずと知れた『ZUN's Music Collection』の第一作目。
初版のCD-Rには幻想郷に迷い込んだ人間が次々に消されていくというホラーストーリーが収録されており、それに合わせて曲もダークで妖しいオリジナル曲が多めです。ちなみに秘封倶楽部は出てきません。
アレンジは曲は西方、靈異伝、トルテルマジックなど過去にZUNが手掛けた旧作アレンジの他、紅魔郷からはみんな大好き『U.Nオーエンは彼女なのか?』など多数収録。
まさに原点にして頂点。初心者でも最初から最後まで飽きずに聴くことができます。
ちなみに3曲目の『桜花之恋塚~Japanese Flower』がSTGも含めた全東方曲の中で一番好きです。今すぐ聴いてください。
『蓮台野夜行 〜 Ghostly Field Club』
初版:2003年
初心者オススメ度:★★☆☆☆
一言:暗い!けど秘封倶楽部好きなら一聴の価値あり
秘封倶楽部が初登場した『ZUN's Music Collection』の第二作目。
今作以降から舞台が幻想郷から少し先の未来を描いた外の世界に移り、ストーリーの語り部も秘封倶楽部の2人、宇佐見蓮子(ジャケット写真右)とマエリベリー・ハーン(左)がメインとなります。
ストーリーは秘封倶楽部の2人が蓮台野(お墓のこと)にある冥界の入り口を見に行くという話が収録されています。
ZUN自身も「霊が集まってきそうな曲を集めてみた」とコメントしており、全体的に暗く激しい曲が多めです。
また秘封倶楽部初登場のこともあってかオリジナル曲が多いです。2人のテーマ曲である『少女秘封倶楽部』や『月の妖鳥、化猫の幻』はぜひ聴いておきましょう。
アレンジは東方妖々夢や永夜抄の曲が多く収録されており、蓮台野の妖しい雰囲気を損なわないナイスなアレンジが施されています。
一押しは2曲目の『少女秘封倶楽部』。まさに2人の活動をそのまま音楽にしたような心がワクワクする名曲です。
『夢違科学世紀 〜 Changeability of Strange Dream』
初版:2004年
初心者オススメ度:★★★★☆
一言:華やかで妖しい『夢』のような一枚
「リアルとバーチャル」をテーマにした『ZUN's Music Collection』の第三作目。
ストーリーは「メリーが昨日見た夢の話を蓮子に聞かせるだけ」の他愛もない日常…。え、日常?夢?現?という話。
アルバム全体も「夢」をテーマした曲が多く、前作のようにダークで激しい曲というよりは、寝る前に聴けるような心地の良さが特徴的です。
ちなみに一曲目の『童祭 ~ Innocent Treasures』はZUN本人のテーマ曲であり、唯一曲に歌詞が付いている曲でもあります(歌はありません)。記念に聴いておきましょう。
アレンジは紅魔郷から萃夢想まで名曲がバランスよく収録されています。きっとあなたの好きな曲も見つかるはず。
一押しは5曲目の『科学世紀の少年少女』。一生聴いていられるリフと後半にたたみかける和メロディ。奇をてらったわけでもなく、ただただ曲の完成度が高すぎる。大好き。
『卯酉東海道 ~ Retrospective 53 minutes』
初版:2006年
初心者オススメ度:★★★★☆
一言:電車好きにはたまらん作品
電車の旅をコンセプトにした『ZUN's Music Collection』の第四作目。
蓮子とメリーが最新地下新幹線「ヒロシゲ」に乗って京都から東京まで旅するお話。ジャケット写真は旅の様子を描いています。
このアルバムはそんな2人の電車旅をコンセプトにしており、京都から東京まで53分で到着する(という設定)新幹線に合わせて、アルバムの再生時間もちょうど53分となっています。
また収録されている曲も電車をテーマにしたものや、53という数字をタイトルに含んだもの、さらには京都や富士の樹海といった地理を絡めた曲など…
何から何まで「電車の旅」というコンセプトに富んだアルバムですね。ぜひ最初はシャッフルしないで聴いてほしい。
一押しは1曲目の『ヒロシゲ36号 ~Neo Super-Express』。列車の音がSEとして使われていたり、曲調も列車から眺める景色のように時に激しく、時にゆるやかに移り変わる…。まさにこのアルバムの始まりにふさわしい一曲です。
『大空魔術 ~ Magical Astronomy』
初版:2006年
初心者オススメ度:★★★★★
一言:ダイナミック宇宙。踊れ!
「宇宙」をテーマにした『ZUN's Music Collection』の第五作目。
ストーリーは蓮子とメリーが月面旅行の計画を立てたり立てなかったりするお話です。
収録されている曲は宇宙がテーマなだけあってとにかくダイナミック!爆音で聴け!ジャケット写真のメリーのように踊り狂え!
アレンジ曲には『Demystify Feast』や『ネクロファンタジア』といったTHE 戦闘曲が収録されています。この曲が流れたら踊るのをやめて戦え!!
一押しは2曲目の『天空のグリニッジ』。クセになるリズムと迫力のあるダークなメロディが特徴的。もう踊りながら戦え!!!
『未知の花 魅知の旅』
初版:2011年
初心者オススメ度:★★★★☆
一言:たった3曲でこの満足感…‼
「魅力あふれる東北の旅」をテーマにした「ZUN's Music Collection」の第五.五作目。
東日本大震災によって急遽製作されたのでストーリーは収録されておらず、収録曲も3曲のみのシングル盤となっています。
震災当時は日本全国が重苦しいムードに包まれていましたが、このシングルを聴いていると心が少しだけ和らぐ気がする。そんな美しくも優しいメロディが特徴的です。
一押しは全部。三押しです。コロナが終わったら東北の旅のお供に聴いてください。
『鳥船遺跡~ Trojan Green Asteroid』
初版:2012年
初心者オススメ度:★★★☆☆
一言:新生ZUNミュージック
大空魔術から約6年ぶりの「ZUN's Music Collection」第六作目。
ストーリーは秘封倶楽部の2人が夢を通じて「トリフネ」という地球から38万km離れた宇宙ステーションに忍び込むお話。ちょっと何言ってるのか分からないと思うけど大丈夫、僕もよく分かってません。
アルバムの雰囲気は全体的に重め。重厚感のあるエレキギターと心地のいいビートが特徴的な曲が多く、従来のトランペットやヴァイオリンのフレーズをふんだんに利かせたZUN曲とはどこか印象が異なります。
あえて言うなればロック。新生ZUNはロックミュージシャンなのです(違います)。
アレンジ曲は地霊殿から神霊廟まで幅広く収録されており、特に4曲目の『フェアリー冒険譚』は原曲のベース音がゴリゴリに活かされていて、新しくもあり懐かしくもあるこのアルバムの雰囲気によく合っています。
一押しは1曲目の『衛星トリフネ』。だだっ広い宇宙を漂う小さな衛星トリフネの圧倒的な存在感がこの一曲に込められています。
『伊弉諾物質~ Neo-traditionalism of Japan.』
初版:2012年
初心者オススメ度:★★☆☆☆
一言:掴みどころのない一枚
鳥船遺跡の後日譚が描かれた「ZUN's Music Collection」第七作目。
ストーリーは前作の鳥船遺跡でケガをして信州に療養していたメリーの退院ついでに信州を観光するお話。
前作と比べると幾分か昔のZUNっぽい雰囲気。要所要所に懐かしいフレーズも入っているので古参ファンほど気に入るんじゃないか。
ただ正直な感想を言うと、アルバム全体のコンセプトがいまいち分かり辛い印象です。聴き終わった後に「結局なんだったんだこれ?」と疑問に思ってもう一回聴いての無限ループ。
いや、あえて言うならこの「掴みどころのなさ」が魅力なの…かもしれない。みなさんもぜひ聴いて自分なりの答えを見つけてください。
アレンジは花映塚や非想天則といったアレンジの再アレンジ曲が収録されています。8曲目の『アンノウンX ~ Unfound Adventure』は原曲の勢いをそのままに、さらに終盤の畳みかけで脳汁ドバーッてなります。戦闘中におすすめ。
一押しは2曲目の『牛に引かれて善光寺参り』。最近の曲もいいけど、こういうメインのフレーズをトランペットでごり押す昔のZUN曲も好きなんですよ。ノスタルジーに浸ってください。
『燕石博物誌~ Dr.Latency's Freak Report.』
初版:2016年
初心者オススメ度:★★★★☆
一言:夜勤明けの朝に聴きたい
伊弉諾物質から4年ぶりの新作「ZUN's Music Collection」第八作目。
ストーリーは秘封倶楽部の2人で同人誌を作るお話。もちろんエロ同人じゃないよ。
ジャケット写真もそうだけど収録されている曲も全体を通してポップ。激しくもなく暗くもない、まさにJ-POPならぬZ(UN)-POPです。
東方知らない人に聴かせるならちょうどいい一枚かもしれない。良い意味で無難なアルバムです。
アレンジは輝針城や紺珠伝、弾幕アマノジャクより収録。みんな大好き『ピュアヒューリーズ ~ 心の在処』もより激しい再録が施されているので心して聴いてください。
一押しは1曲目の『他愛も無い二人の博物誌』。秘封倶楽部のオリジナル曲の中で一番好きです。ZUNの内なるポップを限界まで抽出して具現化した曲だと思う。たぶん東方知らな人でも最初から最後まで飽きずに聴けます。
『旧約酒場~ Dateless Bar "Old Adam".』
初版:2016年
初心者オススメ度:★★★★★
一言:酒、妖怪、狂気!
燕石博物誌の「裏」のテーマが描かれた「ZUN's Music Collection」第八作目。
ストーリーは秘封倶楽部の2人が「不思議な体験をした人々が集い、その体験を語り合う場」に参加するお話。
前作のポップの具現化『燕石博物誌』の裏の作品である今作。ポップの裏側。ダーク?エレガント?
否、狂気です。
普段はおとなしいのに酒を飲んだ途端、狂ったように大きな声で話したり、泣いたり笑ったり怒ったりする人いるじゃないですか。あれです。つまり、このアルバムは酔っぱらってます。
でもPOP要素はそこまで失ってないので初心者にもオススメ。むしろ東方好きな人は少しくらい狂ってる曲の方が好きなんじゃないかと思い★5にしました。おすすめです。
アレンジは星蓮船から心綺楼まで幅広いです。特に5曲目の『大神神話伝』は原曲の和風テイストをそのままに見事なトランスミュージックに昇華しています。間違いなく名アレンジなのでぜひ聴いてほしい。
一押しは2曲目の『燕石博物誌が連れてきた闇』。タイトルがもう厨二っぽくて好き。それにしてもイントロから炸裂する「テレレッテー♪」の狂ったフレーズが耳から離れません。だれか助けてください。
まずは好きなアレンジ曲から聴こう
以上が「サブスクで楽しむ上海アリス幻樂団のオリジナルアルバム」です。
今回はとっつきやすいかなと思い初心者オススメの指標を作りましたが、別に★が少ないから聴かない方がいいなんてことは一切ないので誤解しないでください。
何から聴けばいいか分からん…という人は好きな原曲が収録されているアルバムを聴くのがいいでしょう。そこからオリジナル曲に派生して、最終的にブックレット読むためCDを買えば完璧です。
あとできれば最初はシャッフルせずに最初から最後までぶっ通しで聴くことをオススメします。曲順とかもアルバムを楽しむ要素の一つなので。
東方の曲についてもっと知りたい!という方はこちらの記事を参考にしてください。
それでは